はじめに
5年目以上の先生にオススメです!感覚が変わると思います。
もちろん管理職の先生方も!
https://www.chuko.co.jp/laclef/2024/02/150812.html
本記事では、担任として得たヒント・視座を高めるうえで参考になったこと・最後まで読み終えての感想について、現在実践していることを絡めながら書いていきます。
情報量が多いと思いますので、必要な部分だけ読んでいただけると幸いです。
付箋を30箇所くらい貼り、書き込みを10箇所以上しました。
私が付箋を貼ったページや書き込みをした部分が気になる方は、学校やGEG ChikuhoのLINEなどで、お声掛けください。次にイベントを開いた時にお見せします。
担任として得たヒント
一人ひとりの自律した学びについて P84
一人ひとりが自律した学びができるように大切なことをいくつか挙げると、まずは何を勉強する必要があるのかを自分で考え、気づくことです。そして次に、「 何がわかって」「何がわからないのか」を認識することです。そして最も重要なのが「わからないもの」について自分で調べてみたり、他人に聞いたりすると言う行動を繰り返しながら、疑問を解決する方法を身に付けていくことです。僕らはそうした学びを身に付けさせたいと考えました。
工藤勇一/校長の力 P84
首が取れるそうになるくらい頷きました。あとは、担任する子どもたちの発達に合わせた学び方のルーブリックが必要だから作らないといけないなと思いました。
何を学ぶべきなのか?ということについて。
これに関しては、現状2通りあるのではないかなと考えました。
何を学ぶべきなのか?を子ども自身が選ぶ。
これは、文字通り子どもたちが学ぶべきものを自分で選択するということを意味しています。
学ぶことに対する必要感をもっていることが望ましいと思います。
そして、何を学ぶべきなのか?を自分で(集団で)設定した上で
「では、何なら分かっているのか?」
「何ならできるのか?」
「何を知らなければならないのか?」
「どのようにしてそれを学べばいいのか?」
これらを自分で判断し、学習の進捗に合わせてアップデートしていくことが大切です。
教師の役割としては、コーチだと考えます。
本人が現状を自分で認識することができるようにサポートしなければいけません。
放置していると、学び方を習得していない子どもの学びは深まりません。絶対です。
完全にオープンなPBLや探究のイメージです。
うまく伝わればいいんですけど・・・
https://www.heibonsha.co.jp/author/a228132.html
上記の藤原さとさんの書籍も合わせて読んでいただくと、私のイメージしているものを少し共有できるかと思います。
興味を持たれた方は下記のリンクから一次情報を得てください。
多分、工藤校長がイメージしてあるのは、こっちだと思います。
今の正解が分からない世の中を生き抜くためには、学ぶものを自分で選択し、トライアンドエラーを繰り返しながら学びとっていくプロセスが重要です。
先生たちだって同じではないでしょうか?
コロナ禍を経験した先生たちは、誰も経験したことのない状況に対応せざるを得ませんでした。
そのタイミングでGIGAスクール構想が前倒しになり、様々な前提が変わりました。
今は生成AIでしょうか。
いつまでも誰かが正解を示してくれるわけではありません。
分からないまま、最善の選択をみんなで話し合い、決定していくのです。
そして、それが間違っていたらアップデートする。
そんな大人の背中を見たら子どもたちの学ぶことに対する姿勢が変わっていくと信じています。
何もしないことは、リスクです。
何を学ぶべきなのか?をカリキュラムの中から、子ども自身が選ぶ。
とはいえ、資質・能力を育成することができるなら、何でも子どもの好きに学んでいいのか?と言われるとそうではありません。
受験という制度が変わらない今、テストの点数が取れなければ困ってしまいます。
ネガティブに考えても仕方がないことなので、ポジティブに考えてみましょう!
多くの子どもたちは、自分の理解度を正確に認識することは難しいです。
ここでいう理解度とは、「どの教科の」「どの単元の」「どういうことを理解していないのか?」「それを理解するために、私は何をしなければならないのか?」だと定義します。
それを支援するためのツールとして本人のスタディログに合わせたAIドリルの活用は有効だと感じています。
慣れるまでは、採点後の評価を見て「〜は、まだAになっていないからやっておこう!」
まずはここからだと思います。
本校ではQubenaを使用しています。
そして、自分が効率的に理解するために、自分に合わせた方法を取ることができるようになるといいなと思います。
ドリルを解いてもよし。動画を見て学んでもよし。先生や友達に聞いてもよし。
何を学ぶのか?は、完全に自由でなくとも、子どもたちの生きる力に結びついていくと信じています。
自分の算数の授業を振り返って
単元のテスト勉強をする際にはQubenaの達成度を自分で見て、A評価になっていないものを解くように指導しています。また、「5分間復習」という機能を使用して、個別の学習履歴をもとに不正解だった単元の問題や未修得であると思われる単元の問題を復習しています。
自分の社会の授業を振り返って
みんなで解決すべき学習問題を設定した後、何について調べていかなければいけないのか?を明らかにする時間を確保しています。
そして、問いが明らかになったらスプレッドシート上で共有し、調べて分かったことを記入していきます。可能な限りGoogleフォームで振り返りを行い、「分かったこと」「分からなかったこと」を考えています。
その際、注意しているのは画面上だけで情報共有するのではなくアナログな媒体(模造紙・付箋)を使用してワーキングメモリ的に記憶の保持が難しい人たちの支援も行うことです。
- 学習問題は四つ切りの画用紙にプロッキーで書いておく。
- 学習問題に対する予想を付箋&クラスルームかフォームで共有。付箋は、子どもたちの中から希望者を募り、分類する。それが調べる内容になっていく。
- 学習の過程とゴールを模造紙に書いて、子どもたちと共有。可能な限り日付を書き込む。
- 見つけた疑問と名前を付箋に書いて子どもたちに模造紙に貼ってもらう。
少し話は脱線しますが
アナログな媒体を使うことは、ADHDで、ワーキングメモリが低い私にとっても授業をするうえでの支援になっています。(採用2年目の時に診断。詳細はまたいつか。)
画面に表示するだけでは、やるべきことが頭の中でパッと飛んでしまうことが多々あります。
ちらっと見て「あ。今日はこれをしなくちゃ!」「この子、進んでいるかな?」と思っています。
掲示物を作成するようになってから、「先生、今日は何するんですか?」と聞いてくる子どもが減りました。
子どもが授業のはじめに質問しても、「あれ見ればいいやん。今日は◯◯ばい。」と言って、子ども同士で完結する場面が増えてきました。
ADHD傾向があって、やるべきことが時間内に終わらない先生方にはオススメします。
算数科でも社会科でも、他の教科でも(個人的には図工が重要。自己決定を促すチャンスがたくさんあるから。)子どもとの対話を通して、子どもたちが大人になったときに困らないだけの学ぶ力を身につけていくことができるようにサポートしていきたいと考え、実践しています。
つい最近始めたことですが、図工ではGoogleスライドに製作過程を写真に載せ、今日頑張ったこと、次にしようと思っていることを毎時間言語化しています。
下のブログを参考にさせていただきました。
https://art-educator-tatsuwaki-serendipities.blogspot.com/2021/05/google-classroom.html
現状の子どもたちと今後の方針(2024.2.23時点)
- 自律して学習することができる子が増えてきた。
- Qubenaの「説明」や「ヒント」「解説」を活用することができていない子は、まだまだたくさんいるから今後の指導が必要。
- 担任として子どもたちと学習に関する面談をする時間を確保しなければならない。
そして、今後の方針については色々と考えています。
ただ、昼休みを使って子どもたちと面談するのは持続可能ではないので、給食を少し早めに食べて面談の時間を確保する方法を実践してみます。
何か良い方法がありましたら、教えていただけると幸いです。コメントをお待ちしています。
コラム3:自分の無力を思い知った出来事 P133
こちらは内容に関しては、本を読んでいただいたらいいなと思います。
誰にでも挫折は訪れるものだということを感じました。
正直言って、今の私の原動力は教師として働く中で経験した過去にあります。
学級が上手くいかなったとか、同僚とうまくいかなかったとかそんな次元の話ではありません。
その経験から、このままの延長線上の立場では、同僚や管理職の力をいくら借りても変えられないということを思い知らされました。
社会を変えなければ解決しないが、その能力もツテもないことを理解し、挫折感を味わいました。
だから”社会を変えるための力”や”困ったときに頼れる仲間”が必要で、GEGなどの活動をしています。
https://sites.google.com/view/geg-chikuho/
社会を変えるのは教育だと思いますが、教育だけでは社会を変えることはできません。
どう考えても人・モノ・カネが必要です。
今見えている社会課題を解決することができるように、活動の幅を広げていきたいと思います。
後ろ指を指されるようなことはしていないし、今後もしないので、応援してください。
視座を高める上で参考になったこと
つねに根拠、規定を調べる P139
なにかしら問題が起こるたび、「この根拠は何だろう?」と、すぐにいちいち調べて、「あっ、この法律か」と研究していました。
特に議会で課長や教育長が質問を受けた場合、どういうふうに答えればいいのだろうかという想定は非常に勉強になりましたし、そうした一つひとつの積み重ねが、その後の校長の仕事には大いに役立っています。
工藤勇一「校長の力」P139
これにはびっくりしました。
法律の勉強は必要だと思っていました。
しかし何の役に立つのかは分かっていませんでした。
この部分を読んで、一気に解像度が上がりました。
現場だけで仕事をしていても、この感覚は分かりません。
いつも調べる余裕はないと思いますが、法律を参照する習慣はいるなぁと思いました。
とはいえ、良い機会なので勉強してみたいと思います。
数年前に当時の校長先生から頂いた
【福岡県 教育関係者必携 令和元年度版】を使って、以下のことを余裕のあるときに学びます。
マーカーが引いてあったページや、ざーっと見て気になった部分をリストアップしてみました。
何についてなのか? | ページ |
---|---|
パワハラについて | P641 |
教育基本法 | P一三 国法 |
著作権法 | P二五一 第四章 文化 |
学校教育法 | P四〇一 |
小学校設置基準 | P五二九 |
定数について | P五五六 |
教科書 | P六三一 |
要保護 | P八三六 |
地教行法 | P九三八 |
労基法 | P一七〇一 |
人権教育 | P二〇〇一 |
いじめ防止 | P五一七 |
教育委員会は学校を支援すべし P150
話を元に戻すと、ICT化にはもちろん、最初はいろいろ抵抗を示す教員たちがいました。教員組合も導入には反対でした。
僕は「今なぜICT化が必要なのか」という意味と意義を説明して、とことん相手が理解してくれるまでじっくりと向き合って話をしていきました。
教育委員会が現場の負担を増やそうとしているわけではない、ということ。そして、生徒たち、保護者たちのためになる。だから導入したいと教育委員会は考えている。その真意がきちんと伝わった時、全体が動き出しました。
工藤勇一「校長の力」P150
これは肌感ですが、今まで知り合ってお話ししてきた教育委員会の先生方や役所の事務方の皆さん(勤務する自治体以外の方を含む)は、学校の負担を増やすどころか減らそうとしているという印象をもっていました。
その印象正しかったのだと感じました。
また、私の勤務校の中でICTを広げるための活動を行ってきた経験と本書の記述から、関係する人全てに腹落ちしてもらうのが大切だと思います。
続きます。
教育委員会は助言をくれる。我々の味方なのだ、という理解が深まっていくと、「ぜひアドバイスをしてほしい」「ぜひ指導課長から校長へもちかけてほしい」などさまざまな要望も出てきました。「わからず屋の校長を動かすためには、教育委員会から話をするほうが物事が進みますのでよろしく」というお願いもありました。
教育委員会は決して監視一本ではなくて、学校を良くしていく奉仕者としての役割を担っている。そうした自覚のもとに仕事を進めていくことが何より大切です。教育委員会は資金面、施設面でより良い教育活動をするための法的な根拠を持っているのですから、最大限学校を支援すべきなのです。
工藤勇一「校長の力」P150
実際、教育委員会で働いている先生たちからは、「応援していますよ。何かあったら相談してくださいね。」と言われます。なので、安心して相談することができています。
本当に感謝しています。
今後、教育委員会でのお仕事をする機会がありましたら、上記のことを忘れずに働きたいです。
この他にも議会についてのお話がありました。
物事が多数決で決まるという議会の力学上、逆に野党側からたとえ優れた案が出たとしても少数派からの案ではなかなか議会を通すことが難しい、といった現実もあります。
あるいは、反対が出ないような前例踏襲の案が採用されがちで、結局同じことの繰り返しが続いていくことになりやすい構図も生まれます。
しかし、議会で物事が決まっていく構図を前にして、それをネガティブに捉え、批判ばかりしていても現実を変えることはできません。変えるのは、結局は人の本気の力です。
本来、教育委員会は教育の専門家として、誰のためにやっているのかということを、与党・野党関係なく議員相手に語り、説得するという務めがすごく大事なのです。それができる教育者かどうかというのが、特に指導課長(指導室長)には求められます。
工藤勇一「校長の力」P153
愚痴ばっかり言っていても何も変わらない。
本書では、議員に対して語り、説明するために実際にどのようなことを行っていったのかがリアルに書かれていました。その辺はぜひ購入して読んでみてください。
勉強になります。
委員会の決定がおりてくる仕組みに対して思うこと
学校現場の意見がカジュアルに吸い上げられるような仕組みがないままだと、先生たちの主体性が育たないのではないかと思います。
「どうせまた〜せないかんのやろ。」
「忙しいってことを委員会は分かっていない!」
「現場に来たらいいのに。」
みんなで文句を言っているだけでは何も変わりません。
とはいえ気持ちは分かるんですよね。正直言って忙しくてキツくて、余裕がない日もあります。
そんな中、腹落ちしない取り組みや決定がおりてくると文句を言いたくなるときがあります。
誰だって、自分の所属する組織の決定に関わることができないのであれば、やる気は起きませんよね。
学級の子どもたちもそうですよね。
先生に言われたことばかりするような子どもたちの目に光はありません。
曖昧な表現を避け、取り組みの目的を完全に明確な言葉を使って共有し、一緒に学校現場と創り上げていくというスタンスで、市内の全校に関わる決定やプロジェクトは、スプレッドシートやフォーム、チャットなどで市内の全職員と共有してみたら、腹落ちするのではないでしょうか。せっかくGoogle Workspaceで繋がっているので。
私は教育委員会の中にいる人間ではないため、今の教育委員会の皆さんが抱えているタスクの量やパワーバランス、議会との関係が分からないので、勝手なことを書いているのですが、筋の通った取り組みと無駄な業務の削減を進めるためには、増員して、他に学校の先生たちに向けての広報や折衝ポジションに更なるリソースを割くべきだと思います。
ちなみにこの話は教育委員会と学校現場だけの話ではないと思います。
職員会議。運営委員会。主題研究。研究発表。各校務分掌から出される提案。
共通していると思います。
腹落ちして、納得感をもってもらうためにも、ねらいを共有することが本当に大切です。
そのための余裕をどうにかして、生み出さなければいけませんね。
最後まで読み終えての感想
もしかしたら、校長職や教育委員会で働いている先生たちからすると知っていて当たり前の情報や常識的な考え方なのかもしれません。
しかし、7年目の小学校教員にとっては目から鱗の情報や実践ばかりでした。
また、著者の工藤校長が目指しているものは、私にとって共感できるものばかりでした。
Facebookでは、横浜創英の本間副校長がたくさん発信されています。
GEG ChikuhoのLINEの中では結構紹介させていただいたので、知ってある方も多いかと思います。
横浜創英の取り組みは単なるひとつのモデルにすぎません。でも従来型の典型的な私立学校だった横浜創英が、本質的な学びの大転換に成功すれば、日本中のどの学校にも横展開できるしくみを提供できると考えています。
工藤勇一「校長の力」P250
私も頑張っていきたいと思いました。
本書に出会うことができて本当によかったです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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