はじめに
前章では、なぜ今、学校現場で情報の整理整頓が必要なのかについて考えました。
本章では、私が実際に勤務校で行った情報の整理整頓の取り組みとその成果を紹介します。
これらの事例を通じて、情報の整理整頓が学校にもたらす変革の可能性を探っていきましょう。
1. 業務効率化と時間創出の実例
Google スライドを活用した日程共有
私たちの学校では、毎日の予定をGoogle スライドで作成し、職員室の電子黒板に表示しています。
具体的には以下のような情報を含めています:
- その日の予定(時間割、来客情報など)
- 下校時刻
- 緊急情報(例:ヘビが出た場所の写真、遊具の危険箇所など)
この取り組みにより、以下のような変化がありました。
- 全教職員がリアルタイムで最新の予定を確認できるようになった
- Google アカウントにログインしている端末からならどこでも確認可能になった
- 緊急情報の共有がスピーディーになった
Google スプレッドシートによる行事予定管理
年間行事予定を Google スプレッドシートで作成・管理するようにしました。
そうすることで以下のような変化がありました。
- 最新版がいつでも確認できるようになった
- 学校外からでもアクセス可能になった
- 変更履歴が残るため、誰がいつ何を変更したかが明確になった
2. 教職員間のコミュニケーション改善事例
Google Chat の活用
学校全体で Google Chat を導入したことで、コミュニケーションに大きな変化がありました:
- 遠足の前日や当日の細かい確認が素早くできるようになった
- 写真を撮って共有するだけで、必要な情報がすぐに伝わるようになった
- リアクション機能により、既読確認が容易になった
さらに、Google Chat の使用には透明性を高めるメリットもあります。すべてのやり取りが記録として残るため、ハラスメント案件などの防止や解決にも役立つ可能性があります。
共有ドライブの活用
学校の共有ドライブを整理し、効果的に活用することで:
- よく使う情報へのアクセスが容易になった
- 文書の重複保存が減り、サーバーの負荷が軽減された
- リンク共有により、必要な情報へ素早くアクセスできるようになった
具体例として、私が研究主任として作成した年間研修計画や、事後研修の資料、提案授業の記録などを共有ドライブに保存し、リンクを共有することで、教職員が必要な時にすぐにアクセスできるようになりました。
3. 生徒の学びの質向上につながる可能性
プロジェクト型学習(PBL)の充実
情報を整理することで、教科横断的なプロジェクト学習の実施が容易になりました。私の経験では:
- PBLの実践例や参考資料を共有ドライブで管理し、教員間で共有できるようになった
- 生徒の成果物をデジタルで保存・共有することで、振り返りや改善が容易になった
- 教科間の連携がスムーズになり、より統合的な学習が可能になった
ある実践では、生徒たちが自ら資料を集め、スーパーの人にインタビューを行うなど、主体的な学びが促進されました。
実感として教師の役割は、生徒の探究を手助けし、価値付けすることへとシフトしていきました。
まとめ
情報の整理整頓は、単なる「片付け」ではありません。それは、学校全体の業務効率を向上させ、教職員のコミュニケーションを改善し、そして何より生徒たちの学びの質を高める可能性を秘めています。
次章からは、これらの変革を実現するための具体的な方法と実践例を、より詳細に見ていきます。
考えてみよう
- あなたの学校で、すぐに始められそうな情報整理の取り組みは何でしょうか?
- 情報整理によって、どのような業務を効率化したいですか?
- 生徒の学びの質を向上させるために、どのような情報活用が考えられますか?
これらの質問について、同僚と話し合ってみてください。きっと、あなたの学校に合ったアイデアが生まれるはずです。
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