この論文から学べること
- ワーキングメモリが小さい児童は、学習面での困難や授業中の参加率の低さなどの問題を抱えている。
- ワーキングメモリの小さい児童は、特に他児の発言を聞いて話し合いに参加することが苦手である。
- 児童が自分のワーキングメモリの特性を認識し、それに応じた学習方略を用いることで、学習効果の向上が期待できる。
- クラス全体で児童一人ひとりの特性を共有し、お互いが参加しやすい授業スタイルを作ることが重要である。
- 言葉と視覚情報の両方を用いた学習・発表を全ての児童に奨励することで、ワーキングメモリの個人差に対応できる。
以上のように、ワーキングメモリの小さい児童の特性を理解し、クラス全体で支援することの重要性が示唆されています。
では、この論文に書いてあることについて、対話形式で確認していきましょう。
Claude3との対話より
ワーキングメモリが小さい児童は、どのような学習面での困難を抱えているのでしょうか?
ワーキングメモリが小さい児童は、以下のような学習面での困難を抱えています。
- 読み書きや算数などの学力が全般的に低い傾向がある。
- 授業中に気が散りやすく、勉強に集中できない。
- 与えられた課題を最後までやり遂げることが難しい。
- 特に、他の児童の発言を聞いて話し合いに参加することが苦手である。
つまり、ワーキングメモリの小ささが、学習に必要な情報の保持と処理を困難にし、学習全般に影響を及ぼしているようです。中でも、話し合いに参加することの難しさが特徴的に見られました。
なるほど、ワーキングメモリの小ささが学習全般に影響するのですね。
他児の発言を聞いて話し合いに参加することが特に苦手とのことでしたが、それはなぜだと考えられますか?
ワーキングメモリが小さいと、他児の発言を聞きながら、自分の考えを言語化したり、発言内容を保持したりすることが難しくなります。
具体的には、以下のような理由が考えられます。
- 他児の発言を聞いている間に、自分が言おうとしていた内容を忘れてしまう。
- 他児の発言を理解するのに精一杯で、自分の考えをまとめられない。
- 発言内容が長すぎたり、論点が不明瞭だったりすると、理解が追いつかない。
- 自分の番になるまでに、話し合いの流れを忘れてしまう。
このように、ワーキングメモリの小ささゆえに、聞くこと、考えること、話すことを同時に行うことが難しくなり、結果として話し合いへの参加が困難になると考えられます。
ワーキングメモリの小ささが、話し合いへの参加を難しくする理由がよく分かりました。
そのような児童に対して、本研究ではどのような支援を行ったのでしょうか?
本研究では、ワーキングメモリの小さい児童を含め、クラスの児童全員に対して以下のような支援を行いました。
- ワーキングメモリのアセスメントを行い、各児童のワーキングメモリの特性を明らかにした。
- 算数の授業で児童が経験する困難な場面について、クラスで発表・共有し、話し合いを行った。これにより、話し合いについていけない児童がいることを全体で認識した。
- 各児童に自分のワーキングメモリの特性を示し、授業中の行動特徴について自己評価させた。
- ワーキングメモリの特性と自己評価に基づき、個別のサポートファイルを作成・配布した。
- サポートファイルでは、各児童の特性に応じた学習方略をアドバイスするとともに、言葉と視覚情報の両方を用いた学習・発表を全員に奨励した。
このように、児童自身がワーキングメモリの特性を理解し、それに応じた学習方略を用いることを促すとともに、クラス全体で個々の特性を共有し、参加しやすい授業作りを目指したのが特徴です。
ワーキングメモリの特性を児童自身と教師が理解し、クラス全体で共有・支援していくアプローチは素晴らしいと思います。各児童に配布したサポートファイルには、具体的にどのような内容が書かれていたのでしょうか?
サポートファイルには、各児童のワーキングメモリの特性に応じて、以下のような内容が書かれていました。
- 言語性ワーキングメモリと視空間性ワーキングメモリのアセスメント結果を、「言葉を用いた学習・発表」と「視覚情報を用いた学習・発表」に分けて示した。
- 児童の自己評価を踏まえ、ワーキングメモリ得点から期待されるより自己評価が低い場合は、自信を持てるようなアドバイスを記載した。
- ワーキングメモリ得点が低く、自分でも苦手意識がある場合は、具体的な学習方略のアドバイスを記載した。
例えば、言語性ワーキングメモリが苦手な児童には、
- 発表する内容を事前にメモしておく
- 図や絵を用いて考えを整理する
などのアドバイスが書かれていました。
余談ですが・・・
サポートファイルについては、ぜひ元データをご参照ください。
かなり詳細に書いてあります。
なんらかの方法で、通常学級でもこのレベルでのアセスメントをとり、指導に生かすことができるようになれば、WMが小さい子にとってかなり助かると思います。
WISCの検査後の報告に似ているなと感じました。
- 全ての児童に対して、言葉と視覚情報の両方を用いた学習・発表を奨励する旨が記載されていました。
このように、サポートファイルは各児童の特性に合わせてカスタマイズされており、自己理解と学習方略の向上を促すものでした。
サポートファイルの内容は、各児童の特性に寄り添ったものになっているのですね。
特に、言葉だけでなく視覚情報も活用するよう奨励している点は重要だと思います。
ところで、本研究の成果として、児童の授業態度に何か変化は見られたのでしょうか?
はい、本研究の成果として、児童の授業態度にいくつかの変化が見られました。
研究の最後に述べられているように、担任教師の印象では、一連の活動を通して以下のような変化が観察されています。
- これまで挙手率の低かった児童の中に、自分から挙手をして発言しようとするようになった。
- ワーキングメモリの小さい児童も含めて、授業に対する参加の姿勢に変化が見られた。
ただし、論文中では、これらの変化について客観的なデータに基づく検証はされておらず、あくまで担任教師の主観的な印象として報告されています。
したがって、今後の課題として、児童の授業態度の変化を数値化するなど、より客観的な評価を行う必要があるでしょう。
それでも、ワーキングメモリに着目した支援が、児童の授業参加を促す可能性を示唆する結果であると言えます。
ここからは論文に書いておらず、推測となります。
ところで、サポートファイルを作成・活用したことで、教師の指導や支援に何か変化はありましたか?
サポートファイルを作成・活用したことで、教師の指導や支援にも変化があったと考えられます。
論文中では直接言及されていませんが、以下のような変化があったのではないでしょうか。
- 児童一人ひとりのワーキングメモリの特性を理解し、個々に応じた指導ができるようになった。
- 児童の行動特徴の背景にあるワーキングメモリの問題に気づき、適切な支援策を考えられるようになった。
- クラス全体で児童の特性を共有したことで、協力して支援する体制ができた。
- 言葉と視覚情報の両方を用いた指導の重要性を認識し、指導方法の工夫が促された。
このように、サポートファイルは教師にとっても、児童理解と指導の手がかりになったと推察されます。
ただし、これらは論文から直接読み取れる内容ではないので、実際にどのような変化があったのかを確認するには、教師への調査が必要でしょう。
いずれにせよ、サポートファイルを媒介として、教師と児童、そしてクラス全体で協力する体制ができたことは、大きな成果だと言えるのではないでしょうか。
そうですね。サポートファイルは、教師と児童だけでなく、クラス全体をつなぐ役割も果たしたと言えます。
本研究には、ワーキングメモリに着目した学習支援のモデルケースとしての意義がありそうですね。
ところで、今回は小学校高学年の算数の授業を対象とした研究でしたが、この知見は他の学年や教科にも活用できるでしょうか?
はい、本研究の知見は、他の学年や教科にも応用できる可能性が高いと思われます。
ワーキングメモリは、学習全般に関わる認知機能であり、その個人差は教科を問わず学習活動に影響を及ぼします。したがって、本研究のようにワーキングメモリに着目した支援は、算数だけでなく、国語、理科、社会など様々な教科の学習で有効だと考えられます。
また、ワーキングメモリの個人差は、小学校高学年だけでなく、低学年や中学生、高校生においても見られます。発達段階に応じて、ワーキングメモリの特性を理解し、適切な支援を行うことが重要でしょう。
ただし、学年や教科によって、必要とされるワーキングメモリの容量や処理速度は異なります。したがって、画一的な支援ではなく、各学年・教科の特性を踏まえ、柔軟にアレンジすることが求められます。
また、本研究では、教師と児童、クラス全体で協力する体制作りが成果をもたらしました。この協力体制は、学年や教科を越えて応用可能な、汎用性の高いアプローチだと言えるでしょう。
本研究のような実践を他の学校でも行うとしたら、どのような点に気をつけるべきでしょうか?
本研究のような実践を他の学校で行う際は、以下のような点に気をつける必要があるでしょう。
- 教師がワーキングメモリについての知識を深め、児童の特性を適切に評価できるようにする。
- 児童のワーキングメモリを評価する際は、信頼性と妥当性の高い評価ツールを用いる。本研究で使用されたAWMAなどが候補として挙げられます。
- 評価結果をもとに、各児童の特性に応じたサポートファイルを作成する。その際、児童の自己評価も取り入れ、自己理解を促すことが重要。
- サポートファイルの内容は、学年や教科の特性を踏まえ、具体的で実践的なものにする。
- サポートファイルを活用した指導や支援の方法について、教師間で共有・協議する場を設ける。
- 児童の変化を定期的に評価し、指導や支援の効果を検証する。必要に応じて、サポートファイルの内容を修正する。
- 保護者に対して、ワーキングメモリの個人差と支援の重要性について説明し、理解と協力を求める。
- 学校全体で、ワーキングメモリに着目した支援を推進する体制を作る。管理職のリーダーシップが不可欠。
これらの点に留意しながら、各学校の実情に合わせて実践を進めていくことが大切だと思われます。
おわりに
サポートファイルを作成することが非常に大切だと思いました。
ただ、これが現場に急に降りてきたら大切なのは分かるけど、それをする余裕がない・・・
なんてことになる気がします。
だからこそ、テクノロジーを有効活用し、アセスメントから対応策のヒントをカジュアルに出すことができるようなものになったらいいなと思います。
また、ちなみに本研究で紹介されているアセスメントツールは、以下のサイトに掲載されています。
しかし、いいものであるが故にそれなりの費用がかかります。
通常学級で全員分のアセスメントをとるのは厳しい・・・
また、アセスメントを取っておしまいではなく、担任の子どもを見る力量や学級経営の力も試されますね。
話は外れてしまいますが、経験年数を重ねていっても慢心することのないように気をつけたいものです。
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