令和3年度に実施した小社研の県大会では、コロナ禍の中での開催であったため、オンデマンド配信をしました。
たくさんの先生方に動画を視聴していただき、フィードバックもたくさんいただきました。
今年度も筑豊で県大会を実施します。今回は対面で行います。
期待感をもって今度の県大会に参加していただきたいと思い、過去のアンケートのデータを整理したり、架空の若手とベテランの対話をつくってみました。
細かいことを知りたい方は、ぜひアンケートの元データを見てみてください。
個人の名前を外したものを掲載させていただきました。
小社研の諸先輩方、お手柔らかに・・・
今回のアンケート結果の分析は、Claude3を使用しています。
生成AIを使ったら短時間で分析できるのでおすすめです。
個人的にはChatGPTよりもClaude3のほうが好きです。
アンケートを整理すると・・・
- 教材研究の重要性
- 地域の教材を取り入れることで、子供たちにとって身近で興味を持ちやすい授業になる。
- 児童の実態に合わせた教材選択や工夫が大切。
- 学習問題の設定の仕方
- 子供の疑問や意見から学習問題を設定することで、主体的な学びにつながる。
- 対立する意見が出るような学習問題を設定することで、多面的・多角的な考察を促せる。
- 学習問題を連続して発展させていくことで、学びを深められる。
- 思考を深めるための手立て
- 資料や発問を工夫し、考えの「ズレ」を生じさせることで、思考が深まる。
- 立場を明確にして考えさせることで、根拠のある意見が引き出せる。
- 意見交流の場を設けることで、自分の考えを再構築したり視野を広げたりできる。
- 板書の構造化
- 関係図などを用いて視覚的に整理することで、思考の整理につながる。
- 児童の意見を分類・整理しながら板書することで、学習の流れが分かりやすくなる。
- 授業のゴールの明確化
- 本時のねらいを踏まえ、どのような学びに結び付けるのかを意識した展開の工夫が必要。
- まとめだけでなく、次時への課題づくりまで見通して授業を構想することが大切。
架空の若手とベテランの対話
県大会での公開授業とそれに対するアンケートから、社会科の授業改善について多くの示唆が得られました。アンケート結果から見えてきた、授業力向上のために押さえておきたい5つのポイントを整理しつつ、若手教師とベテラン教師の対話を交えながら、具体的な授業改善の方策を探っていきましょう。
1. 地域教材の積極的な活用
地域教材を取り入れることで、児童の学習意欲が高まることは分かりました。しかし、なかなか適切な素材が見つからなくて…。
地域の教材を発掘するためには、自分自身が地域に飛び込んでいくことが大切ですね。例えば、地域の商店街を歩いてみる。そこで気づいた「昔と今の違い」が、授業のネタになるかもしれません。
なるほど。教科書に載っていないような地域の事象にも目を向けることが重要なんですね。
ただし。教材化する際には、学習指導要領の内容とのつながりを意識することが欠かせません。児童の発達段階に応じた教材選択も大切です。無理のない範囲で、地域教材を少しずつ取り入れていくとよいでしょう。
学校の周りには、授業で扱えるような地域素材が数多く眠っています。
市町村や県などが出している副読本や、地域の施設などにも目を向けながら、教材研究を重ねていきたいものですね。児童にとって身近で具体的な事例は、学習への興味・関心を高める大きな力となるはずです。
2. 児童の疑問・興味関心を生かした学習問題の設定
子供の疑問から学習問題をつくることは分かるのですが、なかなかうまくいきません。どうすれば子供の問いを引き出せるのでしょうか。
子供の素朴な発言を拾うことからスタートです。例えば、校区探検をしている時に「このマンホールには消防車が描いてある。さっきもあったよね?」といったつぶやきが聞こえてきたら、それをメモしておく。何気ない発言の中にも、学習問題のタネが隠れているものです。
子供の疑問をどのように学習問題に練り上げていけばよいのでしょうか。
子供の疑問と教材とのマッチングを図ることが大切ですね。教科書の内容と関連付けながら、子供の問いを焦点化していく。その際、資料の提示方法を工夫し、子供の「なるほど!」「はてな?」を喚起するのです。
「どちらのほうが?」などの対立が生まれるような学習問題をつくることで、子供同士の意見交流も活発になります。
予想の違いから新たな問いが生まれ、学習が連続的に深まっていく。
子供の思考の流れを生かした学習問題の設定を心がけたいですね。
3. 社会的事象の特色が捉えやすい資料の効果的な活用
資料選びには毎回悩んでしまいます。子供の学びを深めるためには、どのような資料がよいのでしょうか。
授業のねらいに合致し、なおかつ子供の興味・関心を惹きつける資料を選ぶことが肝心です。子供の生活と結び付けられるようなものがよいでしょう。写真や動画といった視覚資料も効果的に取り入れたいですね。
なるほど。資料の提示順序なども、授業の展開を左右しそうです。
その通りです。子供の思考の流れに即して、資料を提示していく必要があります。最初に課題をつかませるための資料、予想を検証する資料、新たな視点を与える資料など、メリハリのある提示を心がけましょう。ICTの活用により、一部を隠して資料を提示したり、比較したりといった工夫もしやすくなります。
学習問題を追究していくためには、的確な資料の選択と提示が欠かせません。
指導のねらいを実現する上で、どのような資料が必要かを吟味しながら、教材研究を進めていきたいものです。
4. 本時の目標とのつながりを意識した授業構成の工夫
45分の授業の中で、学習内容をどのように配列していけばよいのか迷ってしまいます。
まずは、本時のゴールをはっきりさせることですね。そこから逆算して、必要な学習活動を考えていきます。導入では、前時の学習とのつながりを確認したり、本時の見通しをもたせたり。展開では、課題追究のための資料提示や発問の工夫を。終末では、本時のまとめと振り返り、次時への課題づくりを。
なるほど。板書計画を立てる際も、この流れを意識するのですね。
そうです。板書は、子供の思考の足跡。本時のねらいに向かって、どのように思考が深まったのかが可視化されるような板書構成を心がけましょう。子供の発言のつながりを矢印などで示すと、思考の流れがよく分かります。
ICTを活用すれば、簡単に資料を提示することが可能となります。
しかし、記憶の保持を苦手としている子は、先生方の教室にもいらっしゃるのではないでしょうか?
あえて、板書して残しておくということも大切です。
主となる発問や、本時のポイントとなる資料は子どもたちがいつでもパッと見ることができるようにしておきましょう。
終わりに
もちろん、授業力の向上は一朝一夕にはなしえません。
日々の実践の積み重ねが必要です。
自分の授業を振り返り、課題を見出す。足で稼いで地域のネタを見つける。
先輩の実践に学び、ヒントを得る。
同僚と語り合い、互いの実践を磨き合う。
こうした地道な歩みを通して、少しずつ授業の質は高まっていくのです。
社会科の授業づくりに悩む先生方も多いかもしれません。しかし、本稿で紹介した視点を手がかりに、一歩ずつ前に進んでいけば、きっと授業は変わっていくはずです。
先生方が令和6年度の県大会へ参加していただけることを楽しみにしております。
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