こんにちは。エドテックChikuhoの外﨑です。
今回は、川上康則さんの書かれた「教室マルトリートメント」という本を読んで、自分の経験と照らし合わせながら感じたことをお伝えしたいと思います。
どんな本なの?
一言で言うと
また、筆者は本書の意図をはっきりと示しています。
本書の意図は、教室を「温かくやわらかな風」で包める教師を増やすことにあります。決して教室内での指導の不具合をいたずらに強調したいわけではありません。本書をきっかけにして、私を含めて指導者が自身の一つ一つのふるまいの重みに気づいていくことができれば、教室の様子は変わると思います。
川上康則/教室マルトリートメント
こんな人におすすめです。
- 子どもたちが厳しいから圧をかけないと・・・!と感じている先生
- 叱りすぎは良くないけど、叱らないのは何だか違う気がすると感じている先生
- 教師としての自分のやり方は、いかがなものなのだろうか?と迷っている先生
本書に出てくる言葉について
そもそもマルトリートメントって何?
「マルトリートメント」という言葉は、欧米や国際社会では広い意味での子供への不適切なかかわり全てを意味します。
mal(マル=悪い)+ treatment(トリートメント=扱い)でマルトリートメント。
「不適切な養育」「避けたいかかわり方」などの意味で使われます。
川上康則/教室マルトリートメント
なるほど。なら、「教室」って言葉が頭につくとどうなるの?
「教育現場における指導者(教師をはじめとして、指導員・支援員・介助員など関係者全てを含む)による不適切なかかわりや本来であれば避けるべきかかわり」
川上康則/教室マルトリートメント
すり合わせが済んだところで、本書を読んで感じたことをお伝えしていきたいと思います。
子どもの「安全基地」でいるために、大切な3つのこと
自分が普段何気なく使っている言葉を振り返る
「やる気がないなら、もうせんでいいばい。」
「宿題せんで遊びにいくんなら、もう先生知らんけん。勝手にしなさい。」
「何回言ったら分かるん?」
胸に手を当てて考えてみてください。
これらの言葉を一度も使ったことがない先生はいないのではないでしょうか。
これまでの自分を振り返った時に、ヒヤッとしました。めっちゃ言ってました。
本書では、このような言葉を毒語と呼んでいます。
担任として譲れないところがありますよね。
社会で生きていくために(ここでの「社会」は、子ども社会、大人社会のすべてを指しています。)どうしても譲れないラインに子どもたちが触れた時、つい言ってしまうんですよね。
ただ、やっぱり譲れないからと言って何でも言っていいわけではないということは明らかだと思います。
今後は
に気を付けていこうと思います。
本書では、それぞれの言い方をしてしまった時に教師として、どう対処するのが望ましいのか?ということが書いてありますので、ぜひ手に取って読んでみてください。
子どもの安全基地になる≠不適切な関わりをしない
じゃあ、不適切な関わりをしなければいいんでしょ?
実はそうでもないんです。
不適切な関わりをしなければ、子どもにとっての安全基地になるわけではない。と本書では指摘されています。
これに関しては、実感があります。
新卒で働き始めたばかりの頃、
どうしても子どもたちを叱ることができませんでした。
それはもちろん自分の指導に自信がなかったということもありますが、
叱ることによって、子どもたちを傷つけてしまうのではないか?という不安が強かったからです。
しかし、ある時にお世話になった先生から
「子どもとの間に信頼関係ができてないよね」
という指摘を受けました。
かなりショックでしたが、それを期に自分の指導と他の先生方の指導をするようになりました。
その中で、自分が褒めも叱りもしていなかったことに気づきました。
本当の意味で子どもたちを見ることができていなかったんだと思います。
それ以降は、よく一人ひとりを見て、その子のもつ強みを褒め、叱るべきところは叱っています。
そして、叱った後は
ある先生に教えていただいた必殺フレーズを。
あなたの○○な良いところが、何にも見えなくなるからもったいないよ。
大人も一緒だと思いますが、フォローを忘れないことが大切ですよね。
教師の成長ステージから見る現在地
本書では、教師の成長ステージと指導の特徴というものが紹介されています。
ステージ1からステージ7までありました。見づらいので、スマホで閲覧されている方は、横向きにしてください。
ステージ | どんな時期なのか? |
---|---|
ステージ1 信頼関係未形成期 | 筋書きから外れた子どもの行動に動揺・焦る。自己コントロールが利かず、感情をそのまま子どもにぶつける。 |
ステージ2 知識先行期 | 研修会や文献などを通して「やり方・技術」を求め始める。手っ取り早く効果がありそうな方法に飛びつくため、指導が実際の子どもに即していない。 |
ステージ3 理念先行期 | 教科書的な理念をもとに態度を形成し始める。頭の中ではどのようにすればよいか理解し始めるが、実際には頭の中で考えているようには動けない。 |
ステージ4 実践準備期 | その場で望ましい態度・技術・実践とが時々噛み合うようになってくる。 |
ステージ5 実践過渡期 | 指導に主導権をもちつつ、受けとめるところは十分に受容する。一見そつなくこなすが、課題設定の吟味はまだ不十分。 |
ステージ6 実践充実期 | 子どもに見合ったアプローチや課題ステップのアップ・ダウンが適切になる。指導場面では結果的に自分の性格が色濃く出る。 |
ステージ7 「態度変容期」 | 自分の性格や特性を受け止めつつ、ゆったりとした気持ちで実践を積み重ねる。子どもとかかわる場面だけでなく、日常生活全般での人との関わりについて自己洞察するようになる。 |
本書には、それぞれのステージにおける課題と次のステージに進むためのヒントが書いてありました。
大切なのは、今の自分の行動を振り返り、今後何に気をつけるべきなのか?を明らかにすることです。
きっと、常にステージ3!みたいなことにはならないと思います。自分のことを振り返ったときに、ステージ1〜3の間を行ったり来たりしていて、ステージ2が多いかなぁという感じの捉えになるのではないでしょうか。
他の先生から見たらどうか分かりませんが、私の中ではステージ2〜4を行ったり来たりしているんだろうと思います。実践が頭でっかちになってしまいがちで、子どもの実態に合わない指導をしてしまうことが多々あります。
最近色んな先生の授業を見させていただく機会が増えましたが、授業の上手い先生ほど子どもに合わせた言い回しや活動を仕組んでいます。それを見て、自分の考え方や指導方法を少しずつ変えていくようにしています。
終わりに
担任が子どもたちの「安全基地」であるために大切なことについて3つの視点からお伝えしました。
私たちの仕事は、良くも悪くも子どもたちにとって大きな影響を与えることを忘れないようにして、心の余裕をもちながら子どもたちと接していきたいですね。
張り詰めた糸は、簡単に切れてしまいますから。
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