【✍️パナソニック財団】3Dプリンタを利用したSTEAM教育と教科横断的実践の構築

STEAM教育とは

STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を取った教育アプローチです。各分野の知識や技能を統合的に学ぶことで、創造性や問題解決能力を育成することを目的としています。

目次

3Dプリンタを活用した教科横断的な学びの実践

本論文は、3Dプリンタを活用したSTEAM教育の実践を通して、教科横断的な学びの可能性を探った研究です。中学校の技術科、美術科、総合的な学習の時間を有機的に連携させ、福祉用具である自助具の製作という実践的な課題に取り組むことで、生徒の課題解決能力や応用力・発想力を効果的に養うことができたと報告されています。

小学校における教科横断的な学びの推進

小学校現場において、このような教科横断的な学びを推進していくことは非常に重要です。しかし、本研究で扱われている内容は中学校段階のものであり、小学校でそのまま適用することは難しいかもしれません。小学校の教科の特性を踏まえた上で、どのように教科を関連付けていくのかを検討する必要があります。

例えば、図画工作科と生活科、総合的な学習の時間を組み合わせた実践などが考えられます。図画工作科で製作した作品を、生活科で育てた植物に見立てて発表会を行ったり、総合的な学習の時間で地域の環境問題について調べ、その解決策を図画工作科で立体作品として表現したりするなど、教科の枠を越えて学びを関連付ける工夫が求められます。

身近な教材・教具を用いた教科横断的な学び

本研究では3Dプリンタという専門的な機器を活用していますが、小学校現場では、より身近な教材・教具を用いた実践も重要です。例えば、タブレット端末を活用し、国語科で創作した物語に、図画工作科でイラストを描き、音楽科でBGMをつけるなど、各教科の学びを関連付けながら、一つの作品を協働的に制作する活動などが考えられます。

教科横断的な学びの効果検証

教科横断的な学びの効果を検証していくことも大切です。本研究では、生徒の作品や感想から、学びの成果が示されていますが、より説得力のあるエビデンスを示していくことが求められます。

例えば、学習前後での児童の意識調査を行い、以下のような質問項目を設定することが考えられます。

  1. 学習したことを、他の教科や日常生活に活用できそうだと感じましたか?
  2. 学習を通して、問題解決に向けて粘り強く取り組む力が身についたと感じましたか?
  3. 他教科との関連を意識しながら学習することで、学ぶ意欲が高まりましたか?

このような質問への回答を分析することで、教科横断的な学びが児童の意識面にどのような影響を与えたのかを明らかにしていくことができるでしょう。

おわりに

小学校現場では、教科の枠を越えた学びの重要性が叫ばれる一方で、その具体的な方法論は十分に確立されていないのが現状です。本研究は、STEAM教育という新しい視点から、教科横断的な学びの可能性を実証的に示した点で意義があります。今後、小学校の教科の特性を踏まえた実践事例が蓄積され、効果検証が進められていくことで、教科横断的な学びを効果的に進めていくための方策が明らかになっていくことが期待されます。

小学校現場の教員一人一人が、自分の担当教科の枠を越えて、他教科との関連を意識しながら日々の授業づくりに取り組んでいくことが大切です。本研究を参考に、教科横断的な学びを実現するための創意工夫を重ねていきたいものです。

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この記事を書いた人

福岡の小学校教員 8年目 / 社会科の授業にICTを活用 / GEG Chikuhoリーダー /初心者向けICT研修講師/ 福岡社会科教育実践学会・日本教育工学会所属 / WordPressでICT活用術を発信 / 動画編集・デザイン・Web記事作成・論文執筆・楽曲制作も

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